写真散歩Ⅱ Photoing in neighborhood

ソイレント・グリーンとデンデラ野

44年前の1973年に、「ソイレント・グリーン」というアメリカのSFサスペンス映画を観た。
当時の50年後の未来社会を想定したもので、人口爆発と環境破壊によって荒廃し疲弊した世界だった。
 
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”2022年、人口が4千万人に達したニューヨークでは、食住を失った人間が路上に溢れ、地下生活のため肉や野菜などの自然食品はなく、特権階級を除く大部分の人間は、ソイレント社がプランクトンから作る緑色のビスケットのような形をした合成食品の配給を受けて細々と生き延びていた…。
ここでは、食糧危機に陥らないよう、人間が60歳になると「ホーム」と呼ばれる公営施設で安楽死をさせられることになっていた。”
 
 
この映画の詳細なストーリーは忘れていたが、ある場所を偶然訪れたことで記憶が突然よみがえった。
2百年も前の日本で、人口爆発ではなく、飢饉という食糧難のために似たような状況に置かれた人々がいたのである。
共通のキーワードは「60歳になる」だった。
 
 
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「…昔は六十を超えたる老人はすべて此連台野へ追ひ遣るの習ありき。老人は徒に死んで了ふこともならぬ故に、日中は里へ下り農作して口を糊したり…。」(遠野物語111より)
 
 
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遠野物語には、実在した姥捨て山の記述があった。
60歳になると、半ば強制的、半ば自発的にデンデラ野という村はずれの土地に移り住む慣習があり、粗末な掘立て小屋に数人のグループで寝泊まりしながら暮らしていた。
日中は、里へ降りて行って農作業の手伝いをして食べ物を分けてもらって口糊を凌いでいたという。
姥捨て山といっても、伝説や映画のように働けなくなった老人を山に置き去りにして餓死させるという非人道的なものではなかった。
デンデラ野という土地で老人たちが自活して共同生活をすることだったのである。
ただしそれは、第2の人生をサバイバルで終えることを意味していた。
若い世代が餓えないように、ひっそりと社会からフェードアウトすることだったのである。
豊作の年は大丈夫でも、不作や飢饉になると、まっ先に死んでいったのだろう。
食糧危機が極限状態まで迫ると、社会的弱者が犠牲になることは、近未来にもあり得ないとは言い切れないかもしれない。
それにしても、昔も未来も60歳が人生の大きな節目なようだ。
  
 
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by giovannibandw | 2017-10-17 20:47 | 未分類 | Comments(10)
Commented by ninja2005y at 2017-10-17 21:56
医学の進歩がなければ
ここまでの超高齢化社会というのは
なかったでしょうね。

だって。60といっても
まだまだ若いというのが
現代社会ですもんね。
わたしも持病で3カ月に1度病院に通ってますが
今の年寄り・・・・本当に元気ですよ~。
Commented by giovannibandw at 2017-10-17 22:54
ninjaさん こんばんは。
日本だけが世界で突出しているというのがミステリーで、
医療の進歩だけでは説明がつかないと思います。
 
誰も言及しない原因の一つとして考えられるのは、
戦中戦後の食糧難を経験した人たちが、腹八分や腹六分による健康体質を獲得しているのではないかということです。
この説が正しいかどうかは、戦後生まれだけの世代になればわかる時がくるでしょう。
Commented by sternenlied2 at 2017-10-18 14:24
私達が子供の頃でも、60歳というと、もう年老いたというイメージがあったものですが、
姥捨があった時代には平均寿命も今よりもっと短かったし、もっと年老いた印象があったんでしょうね。
現在では60歳はまだ若いうちに入ってますが。
以前は90歳まで生きてる人ってあまり聞かなかったのが、最近ではたくさんいますものね。
日本ではまだお年寄りを自宅に引き取って面倒を見る人が多いのでしょうが、
ドイツでは(他の欧米国もそうかもしれませんが)、もう随分前から、
ある程度の高齢になって、自分だけでは心細い状態になってくると、
自発的に老人ホームに入るのが一般的ですね。それも一種の姥捨なのかもしれませんね。
Commented by giovannibandw at 2017-10-18 17:48
sternenliedさん こんにちは。
江戸時代から明治の始めの頃の平均寿命は、43~45歳なので、
当時の60歳はけっこうな長生きだったことになります。
今の時代に換算すると、80歳から90歳くらいになるでしょう。
日本人も終戦後の昭和22年はまだ52歳で、その後ぐんぐん伸びて行ったようです。
その変化が早いので、昔と今とのギャップが大きいのでしょう。
ちなみに、北朝鮮は60歳です。
日本では、有料老人ホームは、貯えや収入がない人は入れないので、自宅に残る人がかなりいると思います。
Commented by いちご at 2017-10-19 13:56 x
こんにちは。
今の60歳の方なんて皆さんお元気で若々しくて
まだまだ現役でお仕事されている方が多いですよね。
その昔、本当に姨捨山のようなことが行われていたのですよね。
ちょうど先週なのですが、娘とお出かけのときにいろいろ話してて・・・
「昔はお年寄りの方を山に連れて行ってたんだよ!そしてもう迎えには行かないの・・・」そんな時代もあったんだよ!って話したら・・・
そんなこと私には絶対に出来ないよって、泣いてしまって・・・
「でも生きていくうえで、それは仕方なかったんだろうね・・・」って。「寂しくなっちゃったよ・・・」って。
贅沢は出来なくても日々何事もなく平凡に暮らしていけることがどんなに幸せな事か、あらためて感じます。


Commented by Cakeater at 2017-10-19 20:31 x
柳田国男の場合、ほとんど数字の裏をとるということをしないで話を集めてるだけなので、いったい村の人口の何割がオーバー60だったのかよくわからないですね。柳田の解釈はほとんど姥捨てみたいだけれど、稀種隔離(現人神)だったかもしれないということを柳田の叙述からは否定もできないと思ってます。
遠野物語の原資料はわら半紙のカードに書き留められていて確か成城学園にあるはずだけど、それを再度検証してみたらはっきりするのかもしれません。
Commented by iwamoto at 2017-10-20 20:36 x
よく言われることですが、
数字は嘘をつかない。 数字を使う人が嘘をつくだけだ。

なかなか、数字の裏を取るのは難しいと思います。
でも、そこから話を導いて良いのか、ひと言添えておくべきでしょうか。
もちろん、基準は時代に沿って出てきたものです。

現代において、老人はどうやって死ぬのが良いのでしょうね。
Commented by giovannibandw at 2017-10-22 09:56
いちごさん こんにちは。
よんどころない事情で三日間外出していて返事が遅くなりました。
SFも実際にあった方も、ぎりぎりまで追いつめられた社会環境の下で発生したことです。
東日本大震災で避難するときも、子が親を置いて逃げないと共倒れになってしまう状況がいくつかあったようです。
そういう極限の判断を迫られた時にどうするのか、平和なうちに一度は考えてみることも悪くないのではないかと思いました。


Commented by giovannibandw at 2017-10-22 10:27
Cakeaterさん こんにちは。
SF映画と対比させているくらいですから数字も参考程度で、
たまたま自分もその年代になったのがきっかけです。
稀種隔離説は信憑性がありますね。実感として理解できます。
平均寿命が40代前半といわれた時代に60歳は少なかったのは確かで、
仙人扱いになっていたのかもしれません。
Commented by giovannibandw at 2017-10-22 11:40
iwamotoさん こんにちは。
よんどころない事情で三日間外出していて返事が遅くなりました。
数字はフィクションと同列に扱っているので、裏を取るつもりはなかったです。
おおまかな目安と考えています。
高齢者の終末は、医療に関しては、日本と欧米では考え方が正反対です。
日本では、若い人も超高齢者も同じように延命治療しますが、
欧州では、それは高齢者に対する人権侵害だという考え方を持つようです。
その結果として、欧米には寝たきり老人は1人もいないそうです。
これを弁証法的に考察することが、問いへの答えにつながると思います。

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